Story ストーリー
柿渋×扇子職人
柿渋加工が施された「渋扇」は、柿渋から生まれる光沢が美しい重厚感ある扇子です。 赤や朱、緑に黒など様々な色の渋扇が作られますが、柿渋液自体の色は基本的に茶色です。 色引き職人が顔料で色引きした紙に柿渋液を重ね塗りすることによって発色のいい柿渋紙が出来上がるのです。 その仕上がりは、まるで革のような素材感で、一見して紙とは思えないものです。 この技術を応用して新しいものを生み出したい、この素材を多くの人に知ってもらいたいという思いから「かさね」は生まれました。
「かさね」のこだわり
「かさね」の柿渋紙の製品は、革のような質感でありながら、軽くて持ち運びやすいのが大きな特徴の一つです。 また、紙を揉むことによって生まれるしわが表情豊かです。 金や銀でつけられた柄は扇子の加飾技術を使っており、男女問わずお使いいただけるユニセックスなデザインになっています。 カラーバリエーションも豊富で、染色ではなく刷毛を使って顔料を塗り、その上に柿渋を塗り重ねる加工をしているため、高発色を実現した柿渋製品です。 柿渋二段扇子は、扇面を上下二段で分けた作りになっており、上下で色が異なる「渋扇」となっています。
紙を「育てる」
「紙は生き物」 扇子の世界ではよく使われる言葉です。 職人が一つ一つ手仕事で製作した商品は全て異なる顔を持ちます。 紙製品は、使い手によってもその表情が変わり、経年変化によって様々な色や形を楽しむことができるのが特徴の一つです。
柿渋を楽しむ
「かさね」の商品には、表を柿渋紙・内側を引き染めした柿渋生地を使っているものもあります。 柿渋を余すところなく使ったコインケースやカードケースで柿渋の風合いや経年変化を楽しんでください。 また、漆で入れたロゴも小さなこだわりの一つです。
柿渋について
「柿渋」とは、まだ青いうちに収穫した渋柿を潰して、圧搾した汁を熟成発酵させたものです。 柿渋には抗菌・防腐・防虫・消臭効果作用があり、塗料や染料、化粧品や民間薬まで、古くから多岐にわたる用途で親しまれてきました。 平安時代には、桶・樽・衣装を入れておく行李に使用されたり、また、現在でも建物の耐久性や防水性を高めることから多くの文化財の補修保全や古民家の再生にも使用されています。 扇子の分野では「渋扇」という柿渋加工を施した扇子にも使われており、何度も塗り重ねることで紙に強度を与えて美しい光沢を出しています。 化学物質を含まない100%の天然素材なので、環境や人体にも優しく、可能性に満ちた材料です。 抗菌効果の有無を調べる検査において表される「抗菌活性値」は、 一般的に2.0以上で抗菌効果があると規定されています。 柿渋紙をこのテストにかけたところ、抗菌活性値は4.3。 抗菌効果があることが証明されています。