Story ストーリー
本堅地技法(ほんかたじぎほう)
漆ならではのふっくらとした質感と艶やかな表情が美しい仕上げ。 数ある漆塗り技法の中で、輪島塗産地が採用しているのが本堅地技法です。 天然木を用いて、上縁、高台の縁、箱の回り、家具の表面など、欠けやすい部分に漆布着せを行い、「輪島地の粉(※1)」を用いた下地を施し、研ぎ、中塗、上塗りを経て作られます。完成した塗装の断面をみてみると、9層からにもなり、長く使って表面に痛みが出てきても「直すこと」ができます。 ※1 輪島市内の小峰山から産出される珪藻土を焼成し粉末にしたもの 本堅地技法のモノを使っていくと... 「使って/洗って/拭いて」いくことで、自然と艶が増し、色も明るくなっていきます。鋭利な物や硬い物に当たると、傷や欠け、割れが生じる場合があります。
蒔地技法(まきじぎほう)
金属のスプーンなどを使っても傷がつきにくく、マットな質感が特徴の蒔地仕上げ。 これまでにあった下地の蒔地技法を応用した輪島キリモト独自の技法です。天然木に「漆布着せ(※2)」を行い、下地を施した後、表面に近い部分でもう一度「輪島地の粉」を使用し、漆を塗り重ねて仕上げています。表面に痛みが出てきても「直すこと」ができ、毎日の生活の中で気兼ねなく使うことができます。 蒔地技法のモノを使っていくと... 蒔地ならではのザラザラとした表面は少しずつ滑らかになり、全体的に艶が増し、色も明るくなっていきます。鋭利な物や硬い物に当たると、欠けや割れが生じる場合があります。
地塗り千すじ技法(じぬりせんすじぎほう)
職人の手の動きによって出来る、いくつもの「すじ模様」を器の表面に留めた仕上げ。 天然木に布着せ、下地を施した後、「輪島地の粉」と漆を混ぜたものを特殊な刷毛で塗り込み、漆を塗り重ねて仕上げています。 エイジングされた(時を経た)ような落ち着いた色味が食べ物を映えさせます。また、表面硬度が高いため擦れに強く、金属のスプーンを使うこともできます。表面に痛みが出てきても「直すこと」ができ、毎日の生活の中で気兼ねなく使うことができます。 地塗り千すじ技法のモノを使っていくと... 出来立ては黒っぽい千すじ仕上げですが、少しずつ明るくなり、色がはっきりしてきます。他の技法に比べて、変化が大きいのが特徴です。鋭利な物や硬い物に当たると、欠けや割れが生じる場合があります。
拭漆技法(ふきうるしぎほう)
木目のきれいさ、優しさを引き立てる仕上げ。 漆塗りの中で最も基本的な拭漆技法は、手跡やほこりなどを残さないよう丁寧に整えられた木地の上に直接漆を塗り込み、乾かないうちに布などを使って、漆を擦り込むように拭き取り乾かします。拭漆を施すことで、トレーやランチョンマットにも直接食べ物を置くことができ、用途が広がります。 また、長く使い込んで色が薄くなった場合は、「拭漆をし直す(※3)」ことができます。 ※3 状態により出来ない場合がございます。 拭漆技法のモノを使っていくと... 全体が少しずつ明るくなり、木目がはっきりしてきます。鋭利な物や硬い物が当たると、傷がついたり欠けたりすることがあります。
ガラス塗料塗装(がらすとりょうとそう)
木の持つ美しさ、効能はそのままに汚れがつきにくい仕上げ。 ガラスを常温で液体にしたものを、アルコールを溶剤にして木部に染み込ませ、木材自体を強くし長持ちさせる効果があります。アルコールが蒸発すると無機質となるため、体にも安心です。 ご使用後は、中性洗剤と柔らかいスポンジで洗って、水気を拭きとってください。 ガラス塗料塗装のモノを使っていくと... 表面を覆う塗装ではないため、多少食べ物による滲みはできますが、使い込むことで全体が自然と飴色になり、落ち着いてきます。鋭利な物や硬い物が当たると、傷がついたり欠けたりすることがあります。
無塗装(木製品)について
漆器木地のために10~20年落ち着かせてきた木材を活かして、さらなる暮らし道具をつくろうと考え誕生しました。 桐本木工所として培ってきた輪島漆器を支える木地製作の技術と、良質な木材の美しさを最大限引き出しています。 輪島の地元材「あすなろ」は淡黄色。主に北海道、東北から運び込まれている「朴」は灰緑色。おとなしい色味なのですが、加工性に優れており、耐水性に富んでいます。 無塗装のモノを使っていくと... 使い込むことで全体的に色が濃くなっていきます。鋭利な物や硬い物が当たると、傷がついたり欠けたりすることがあります。